展示会という場の存在意義は生きている
2022.03.03
2月中旬、東京ビッグサイト東ホールで開催された「第50回 国際ホテルレストランショー」を見学してきました。こちらの展示会は、「国際ホテル・レストラン・ショー(HOTERES JAPAN)」「フード・ケータリングショー(CATEREX JAPAN)」「厨房設備機器展(JAPAN FOOD SERVICE EQUIPMENT SHOW)」という3つの展示会の頭文字を取って『HCJ』と総称されるイベントを構成しており、同じ入場者証ですべての展示会への入場が可能となっています。
今回の展示会見学レポートでは、コロナ禍での展示会開催状況、ブース装飾や展示会全体の様子などをお伝えしていきます。
■入場方法
HCJは以前より事前の入場登録が必須で、それは変わらずでしたが、会場で名刺を1枚受け渡す手続きを省略することで、人の滞留時間を短縮しているようでした。今回、私は南館で同時開催されていたイーコマースフェアへも足を運んだのですが、そちらは事前登録とともに印刷した入場者証を持参して入場する方式になっており、来場者に関しても各展示会で様々な感染症対策が取られていると感じました。
また、事前のメール案内でも、以前は「未登録の方は有料の入場となる」等の記載がありましたが今回はそういった案内もなく、代わりに「分散来場・直行直帰のお願い」に関する記載が追加されていました。
■ブース装飾・展示会の特徴
今回、HCJの中でも「国際ホテルレストランショー」についてメインで見学をしてきましたが、その中で感じた特徴は大きく2つ挙げられます。1つ目は、木目調を取り入れたブースが多いこと、2つ目は、試食展示および、調理のデモンストレーションを行うブースが多いことです。
1つ目の特徴については、ホテルやレストラン、カフェで使用する製品を取り扱う出展者が多く、店舗の雰囲気を取り入れたブース装飾で、具体的な使用イメージを想起させる狙いがあると考えられます。
木目ほど数は多くないですが、ピザやパンの調理器具を扱うブースでは、レンガ調の壁紙を使用するブースも見受けられました。ブース装飾で世界観を演出し、来場者へ歩み寄るとともに、美味しさや安らぎといった空間や雰囲気の表現でも、製品イメージを打ち出している出展者が多い印象でした。
特に木目調の壁紙については、色や柄のバリエーションが豊富で、親しみやすいカフェの雰囲気から、背筋が伸びるような高級ホテル・レストランの格調表現、環境に配慮した清潔かつ優しいイメージの表現など、様々な用途で使える汎用性の高さがあり、それを改めて認識させられました。
2つ目の特徴については、調理器具の実機を展示する出展者が多く、かつスペックを来場者に知ってもらうには実食が必要という、本展示会の特徴とも関連しているかと思います。断続的に調理を行い、試食を提供し続けるブースもあれば、デモンストレーション込みで時間を決めて、調理の解説を行いながら最後に試食を提供するブースもあり、出展者によって戦略の違いを感じました。
コロナの状況下ではありましたが、会場内を見学している中ではやはり試食提供をしているブースは盛況で、デモンストレーションを行っているブースの前にも人だかりができている状況でした。
■展示会見学を終えて
コロナ禍で苦境に立たされるサービス業関連の展示会ということで、展示会全体の集客状況も気になるところではありました。会期中の状況では、昨年よりも1日当たりの来場者は1,000人ほどの増加ではあるものの、例年の半数程度にとどまるということで、どうしても、業界としての状況を感じざるを得ない部分もありました。
しかし、出展されたお客様にお話を伺ったなかでは、「今までは検討段階で来場する方が多かったが、今年は購入を決めてからいらっしゃる方も多く、引き合いが増えた」といったお声も伺うことができ、展示会という場の存在意義は生きているのだなとも感じました。
個人的にも、一刻もはやく安心して外食・宿泊のできる状況が戻ることを切に願うとともに、こういった状況下でご出展された企業様にとって、本展が実りあるものであったことを祈っております。